こんにちは。mutopsyです。この記事では,約2年前に公開した「ベイズ推定の初歩──二項分布を例に──」というスライドを紹介します。
この資料は,2015年7月18日に関西学院大学で開催された読書会で用いたものです。文献は“Bayesian Cognitive Modeling: A Practical Course”,通称「コワイ本」と呼ばれる本です。今年の夏,日本語訳が出版されて再び話題に上がりましたね(『ベイズ統計で実践モデリング: 認知モデルのトレーニング』)。
このスライドでは,コワイ本の第3章「Inferences with binomials(二項分布を使った推論)」について解説をしています。内容としては,ベイズ推定の基本的な考え方と,確率的プログラミング言語の1つであるWinBUGSを使って実際にベイズ推定を行う方法について,二項分布に従う変数を例に説明しています。二項分布は整数値を返す離散分布で,コインを投げて表が出る回数であったり,n問中k問正解する回数であったりと,直感的に理解しやすい分布なので,導入としてよく用いられます。しかし,ここで紹介している基本的な内容は,正規分布のような連続分布に対しても適用可能です。そういった理由もあって,スライドのタイトルを「ベイズ推定の初歩──二項分布を例に──」としました。
当時の僕は博士前期課程2年で,まだベイズの「ベ」の字も知らないような初心者でしたが,この本を読んでこの資料を作って,なんとなくベイズの「ヘ」ぐらいまでは分かったかなあといったところです。今であれば,『ベイズ統計モデリング: R,JAGS, Stanによるチュートリアル 原著第2版』,通称「犬4匹本」や,『StanとRでベイズ統計モデリング (Wonderful R) 』といった,日本語で読める良著も増えており,ベイズを学ぶ敷居はだいぶ低くなりつつあるように思います。インターネット上にも有志の方々による分かりやすい資料がたくさん公開されています。とてもいい時代ですね。
ちなみに,コワイ本で用いられているWinBUGSは現在開発が終了していますが,その後継であるJAGSが利用できます。また,より効率的なアルゴリズムを採用しているStanもよく使われています(筆者もStanを愛用しています)。さらに,特定の目的に特化した,簡単に使えるソフトウェアやパッケージも増えつつあります。今やベイズはコワくない。Let's Do Bayesian Data Analysis!


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2017年12月08日
ベイズ推定の初歩──二項分布を例に── [スライド紹介]
posted by mutopsy at 00:00
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